書の間

025 愛たた宕

四コマ漫画「愛たた宕」。朝、水尾の柚吉の家の前を、新品の装備でぴかぴかの登山客の一行が、愛宕山へ向かって石段を登っていく。先頭の年配の男性は、息子に山頂を指さして得意げに説明している。家の前では、柚吉と敏が地面にシートを広げ、大きな紙を石で押さえ、墨の入ったバケツと、ほうきほどもある大筆を用意している。敏は武道の達人のように腰を落とし、気合いとともに大筆をふるう。紙の上には、コンパスで描いたような完璧な円。庭では猫の棘が小さな沢蟹と遊びながら、片方の眉を上げて見ている。柚吉はその円に大きく×をつけ、隣に、閉じきらない、いびつな円相を描いてみせる。敏はあっけにとられる。夕方、登山客たちが汗だくで山を下りてくる。先頭の男性は顔をゆがめ、両手で腿を押さえて、小股でそろそろと歩く。「あいたたた……」。息子はあきれて空を見上げる。

愛たた宕
(あいたたご)
あいたたた……

みんなのこと、もう覚えましたか?点